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訪日外国人のレンタカー利用に関して

リピーターの訪日外国人が増えるにつれて、目的地が都市部から地方へと拡大しています。そんな時に交通手段として使われるのが「レンタカー」です。利用状況と近年増えつつある課題、インバウンド政策について紹介します。

訪日外国人のレンタカー利用の現状

都市部と違い地方によってはまだ交通網が発達しておらず、移動が不便なエリアもあります。ひとつの目的地へ行くのに複数の公共交通機関や路線を乗り継がなければならず、待ち時間も数時間単位で発生します。そもそも公共交通機関が走っていない観光地もたくさんあります。タクシーを利用する方法もありますが、目的地が広範囲に点在するならレンタカーを利用した方が時間も費用も節約できるでしょう。

2015年にJNTO(日本政府観光局)が調査したところによると、訪日外国人がレンタカーを利用する件数は北海道で4万件以上、沖縄で13万件以上にもなります。北海道の場合は香港からの訪日外国人が1/3を占め、台湾、韓国、シンガポール、タイと続きます。一方、沖縄は韓国と台湾、香港でほぼ1/3ずつです。実際に台湾や香港では日本に旅行をする前の検索ワードとして「レンタカー」が上位にランクされています。

アジア諸国が中心なのはリピーターの訪日外国人が多いだけでなく、ジュネーブ条約にもとづいた国際運転免許証の取得が容易だからです。台湾にいたっては自国の運転免許証で日本でも運転できます。逆に中国はジュネーブ条約に非加盟のため自国で国際運転免許証を取得できず、日本での運転は不可能です。

日本は他の国に比べると隅々まで道路が整備されており、車の性能がよくカーナビも多言語に対応しています。個性的な道の駅やサービスエリアが多いのも魅力です。そのためJNTOではレンタカーでめぐる旅行プランの提案も積極的におこなっています。

訪日外国人のレンタカー利用の問題

ただし訪日外国人のレンタカー利用が増加するにつれて、事故も増加する傾向にあります。沖縄県レンタカー協会の調べによると、沖縄県では2016年だけで1万件に迫る事故が発生しました。この件数には警察に届け出のない軽微な事故(こすった、凹ませた)も含まれていますが、自国とは異なる不慣れな環境の中で事故を起こしやすいようです。

たとえば日本と同じ左側通行なのは香港やタイ、シンガポール。韓国や台湾は右側通行です。ハンドルの位置が違うだけで運転感覚は大きく変わります。また標識の違いで一時停止や一方通行を見落としてしまいがちです。北海道では雪による交通障害に巻き込まれるケースもあります。

訪日外国人のレンタカー利用の対策

今後、1年間の訪日外国人が3,000万、4,000万人と増加していく中でリピーターも多くなり、レンタカー利用中の事故も増加すると考えられます。ただし訪日外国人側だけに事故を減らすよう意識を高めてもらうのは限界があります。訪日外国人がレンタカーを運転しても事故を起こさない環境づくりを目指す方が効果を期待できるでしょう。

たとえば国土交通省では各国のJNTO協力のもと、現地で運転セミナーを開催しています。SNSでの情報公開にも積極的で、各言語に対応した啓蒙活動を繰り広げています。また交通規則や標識の解説、ガソリンの入れ方や事故発生時の対応などをまとめたパンフレットを配布したり、インターネット上でダウンロードできるようにしています。

さらに2017年から訪日外国人がどんな時に急ブレーキを踏んでいるか分析し、事故防止対策を講じる取り組みも始まっています。データはレンタカーに搭載されているドライブレコーダーやETC2.0から収集します。もちろん、この取り組みはレンタカー業者や警察などの協力が必要です。

まとめ

多くの訪日外国人は目的地へ行くためなら、あまりためらわずにレンタカーを利用します。けれども環境の違いから事故を起こしやすいのも事実です。インバウンド政策の中で見過ごされがちですが、今後に備えて啓蒙活動を繰り広げたり、多言語に対応するなど積極的に取り組みたいところです。