「いかに訪日外国人の関心を惹けるか」これがインバウンドの課題です。そのために多くの企業や自治体が試行錯誤しています。もちろん、集客につなげられたところも続出しています。どのような対策をしたのか成功事例を紹介しましょう。
SNSを使った成功事例について
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観光庁が2017年7月から9月に調査した結果によると、訪日外国人が出発前の情報源として参考にしていたのは個人のブログ、SNS、旅行会社ホームページの順でした。この結果から、インターネットで情報発信をすれば他の媒体よりも訪日外国人の目に触れる可能性は高いといえます。
高知県でも2015年9月に訪日外国人向けのオウンドメディア「Visit Kochi Japan」を開設しました。同時にFacebookのアカウントも開設し、2017年12月の時点で約14万人のフォロワーをもつ一大コンテンツに成長しています。
Webサイトは多言語化に対応しており情報量も豊富ですが、常に更新するのは手間も人件費もかかります。また訪日外国人に見てもらうにはSEO対策もしなければいけません。そこで高知県ではFacebookに「タイムリーな情報の発信」と「Webサイトへの誘導」という明確な役割をもたせてその問題を解消しました。
さらに言語を多くの国で通用する英語に統一し、現地の在日外国人に記事や画像を選定してもらうことで、訪日外国人の目線で情報を発信できるようになりました。SNSの中からFacebookを選定したのはユーザーが多いからです。
一方、伊勢丹新宿店では2015年に在日中国人の発信力を活かした試みをおこないました。同店の地下2階には「ビューティアポセカリー」という、100ヶ国以上のオーガニックにこだわった化粧品や食料品が集まる売場があります。そこへ在日中国人の女性を30人招待して店側が勧める商品を試してもらったのです。
イベント終了後は彼女たちのブログやSNSを通して商品の魅力が拡散され、中国最大のSNS「Weibo(微博)」も関心をもって記事にしました。影響力の大きいアカウントにコンタクトすれば、一からマーケティングしなくても情報が波及する成功事例です。訪日外国人へアピールするときは、こうした入口探しも重要になるでしょう。
コンビニが成功させたインバウンドビジネスの事例をご紹介
訪日外国人の買物といえばかつては空港免税店や百貨店が主流でしたが、最近ではドラッグストアやスーパーマーケット、さらにはコンビニへと移行しています。成功の原動力になったのは各コンビニのインバウンドサービスです。
たとえばセブンイレブンでは煩雑化しがちな免税の手続きをわずか5分で完了できるシステムを導入し、全従業員が容易に対応できるようにしました。またITアウトソーシングのトランスコスモスと提携し、コールセンターを介して英語や中国語などを同時通訳できるサービスも提供しています。
さらにセブンイレブン内にはセブン銀行のATMがあり、Union PayやDISCOVERのような中国でユーザーが多いクレジットカードのキャッシングにも対応しています。無料で利用できるWi-Fiスポットもありオリジナル商品も豊富にあるので、訪日外国人は十分に満足できるのです。
2017年にはファミリーマートでも外貨両替機を設置し、13種類の外貨を日本円に両替できるサービスを始めています。またローソンでも中国で普及しているオンライン型決済サービス「アリペイ(支付宝)」の取り扱いを全店舗で始め、モバイル端末で簡単に決済できるようになりました。
インバウンド向け広告の成功事例
訪日外国人に向けた広告を制作する上で課題となるのが言葉の壁です。そこで、あえて映像の美しさだけで勝負し、成功している広告が増えています。たとえば「草津温泉観光協会」がYouTubeで公開している4K(Ultra HD)の動画広告です。春夏秋冬の4種類が制作されており、すべて合計すると約300万回再生されています。実際に動画を見て訪れる外国人の数も増えているようです。
草津温泉や周辺観光スポットを歩行中の目線、乗物からの景色、上空からの俯瞰などさまざまな視点で捉えています。BGMはありますが文字は冒頭に「草津」と出るだけで、登場するものに対する説明は一切ありません。疑問点があればコメント機能を通して解消できるようにしており、そこにYouTubeを選んだ意義があります。
一方、検索のしやすさを重視するなら「ハッシュタグ(#)」を使えるTwitterやInstagramに分があります。とくに欧米ではInstagramが人気です。また中国を対象にするのであればWeiboやWeChat、動画ならYoukuの利用を検討するべきでしょう。
まとめ
成功事例を見て分かるように、インバウンドでは外国人が利用したいと思える情報やサービスを提供することが大事です。発信する手段を選び、コンテンツを厳選するとターゲットに訴求しやすいでしょう。もちろん受け入れ体制も整えておきたいところです。