桜の季節が近づいてくると、お花見の話題があちらこちらで聞こえてくる日本。日本での花見の歴史は長く、奈良時代までさかのぼります。奈良時代には梅を楽しむのが主流でしたが、平安時代には花見といえば桜を愛でることに変化したとされています。また、貴族のたしなみであった和歌、江戸時代に栄え始めた俳句では、「花=桜」を意味する言葉として扱われているほど、桜は日本人の心に響く花であるといえるでしょう。
このように日本独自の歴史をもつ花見ですが、現在では訪日外国人にも人気の文化になっています。春に旅行の為に訪日して、ついでに花見を見学するだけでなく、花見をするために来日するというインバウンドも増えているのです。では、訪日外国人が日本の花見に魅了される理由とは何なのでしょうか。花見のインバウンド人気の謎をひも解き、訪日外国人人気を高めるためにはどのような花見にすればよいか、チェックしていきましょう!
なぜ花見がインバウンドに人気なのか?
それではさっそく、なぜインバウンドに花見が人気なのか、その理由について見ていきましょう。
まず、日本についてある程度知識を持っている外国人が抱く日本のイメージの中に、「桜」があることが挙げられます。桜は美しく咲くのは一瞬。咲いた後は散りゆくだけという儚いイメージが強い花です。このような儚さを美しさとして大事にしてきた日本人の文化を知っている外国人は、特に「日本=桜」という印象が強いのかもしれません。
また、桜のシーズンは3月下旬から4月上旬にかけての期間。その他のイベントと比べると、盛り上がることができる期間が短めです。さらに、桜前線を毎日のように報道するなど、花見に関係する日本特有の風習を楽しめるのもこの期間のみなので、期間限定というプレミア感もあるようです。
そして、日本の花見のスタイルが日本独特のものであることも、花見人気の大きな理由の1つです。特に中国では、外でパーティーをする風習がないため、桜の下で宴会をするのが楽しそうに見えるのです。また、普段は公共の場での静かさを求める日本人ですが、花見の場合は別。そのため、騒々しいといわれやすい訪日外国人でも、花見では心置きなく騒ぐことができるというのも魅力でしょう。
このように、さまざまな理由からインバウンドに人気の高い花見。海外では「Hanami」という言葉ができていることからも、その注目ぶりをうかがい知ることができます。
インバウンドには桜の名所を回る花見ツアーが人気
日本人の花見は、家族や友人、会社の同僚などといった近しい人で、計画を立てて行われるものです。しかし、訪日外国人には花見の計画を立てて準備するということはなかなか難しいでしょう。では、インバウンドはどのようにして花見を体験しているのでしょうか。
インバウンドに人気のある花見プランは、ズバリ「桜の名所を巡る花見ツアー」。例えば、桜の名所が多い東京では、花見スポットを複数巡るクルーズが人気です。江戸時代に川を使った物流システムが発達したことから、現在でも多くの川が残存している東京の歴史にも触れることができるので一石二鳥ですね。
また、京都や奈良など、日本の古都といわれる観光地も負けてはいません。古くからの桜の名所が多い京都や奈良では、訪日外国人のさまざまなタイプに適した観光戦略を打ち出しています。
最先端のインバウンド向け花見ツアーでは、外国語ガイドも充実しています。桜を通して日本の歴史や文化について学びたいという訪日外国人にも満足してもらえるプランも多いです。
花見シーズンには多言語対応のできる環境を
花見という日本の文化に関心を持ってくれた訪日外国人に対し、おもてなしの心をもって迎えてあげたいものです。それでは、具体的にどのような点に配慮する必要があるのでしょうか。
まず、各地の花見や桜祭りの会場の屋台などに、中国語や英語、韓国語などができる人材を用意しておく必要があります。言葉の壁は、日本人にとっても訪日外国人にとってもストレスの原因になります。世界の共通言語ともいえる英語や、近年増加してきた中国人観光客に対応するための中国語は、最低限対応しておいたほうがよいでしょう。
また、桜や花見は楽しむことができる期間が短いので、ベストな期間を逃さないためにも、開花予想や開花宣言を随時更新するとよいでしょう。これらの情報も多言語に対応しておくと、さまざまな国の人たちが日本の桜の情報にアクセスしやすくなります。
そして、日本人と訪日外国人との間に軋轢を生じさせないためにも、花見のマナーを訪日外国人にしっかりと伝えるべきです。ゴミは自分で持って帰る、花見をしてよい時間帯以外に宴会をしない、桜の枝は折らないなどの基本的なルール・マナーを守ることは、日本人にとっても訪日外国人にとっても重要なことですね。
まとめ
インバウンド人気が高い日本の花見。さまざまな花見ツアーが組まれていますが、訪日外国人により一層楽しんでもらうためには、主要言語への対応や花見情報のスピーディーな開示、花見のルールやマナーのアナウンスをすることが大切です。「日本の花見は人気が高い」ということにあぐらをかかず、おもてなしの心で訪日外国人を迎えていきましょう。