訪日外国人が日本に来て楽しみにしていることそれは食事である。
観光庁のデータによると1位「日本で食事をすること(64.0%)」2位の「ショッピング(51.6%)」を10ポイント以上離してぶっちぎりだ。その反面、外国人旅行者の急増に戸惑い、どう対応していいのか不安を感じているのが飲食店である。
難しく思われがちな外国人の受け入れ対応だが、実は誰でも簡単に「おもてなし」を提供することが可能だ。今回はその第一歩として、外国と日本の食文化の違いについて紹介したい。
▼食後のゲップは感謝の証!豪華で豪快に楽しむ中国人。
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中国人特有の文化、「食後のゲップ」。世界中どこを探してもゲップはマナー違反になるのが当たり前だが、中国だけは「美味しい料理を出してくれたシェフへの賞賛と感謝の証」を意味する。もし店舗でゲップをされた中国人がいた際には、歓迎することは難しいかもしれないが、なんとか目をつむればあと抑えるべき特徴は2つだけだ。
①大皿料理を沢山注文
彼らはテーブルにところ狭しと料理を並べることを好む。
そして小皿を使って家族や友人とシェアして食べるのだ。
②見た目のわかりやすい豪華さ
中国人観光客の富裕層は想像以上にお金を持っている人もいる。
そんな旅行者がついつい注文したくなってしまうような「金箔をあしらった高級感のある一品」などがメニューにあると注目を集めるに違いない。
▼ファーストオーダーでの一言が大切?オススメに弱い韓国人
「こちらの料理であればすぐにお出しできます!」これが韓国人への合言葉になる。
韓国料理にはスープとナムル、キムチなど種類が非常に豊富で、メインディッシュを食べる前に前菜を食すという習慣があるからだ。
韓国人が来店したら、この親切な一言で顧客単価の向上も狙える。
またもう一つの「おもてなし」になるのがスプーン。
韓国人も箸を使って食事をとっているが、ご飯とスープは基本的にスプーンを使って食べることが多い。
何気なくスプーンを出してあげれば、彼らもあなたのお店を気に入って、いい口コミにつながるチャンスができる。
▼自分カスタマイズが大好き。来日人数TOP5のタイ人。
タイの食文化といえば屋台料理だ。お祭りでもないのに毎晩屋台が並び、家族や友人と食べ歩きを楽しむのがタイスタイル。食べ歩き観光客を狙っている店舗ではタイ語での案内看板などがあれば、彼らのハートをがっちりキャッチできる
タイ料理では運ばれてきた料理に「お酢」「砂糖」「粉唐辛子」「ナンプラー」を足して自分オリジナルの味を楽しむことが一般的である。ラーメン店、焼肉店など卓上調味料が沢山おいてある店舗では、調味料が説明してあるポップメニューがあるだけで顧客満足度はグッと上がってくる。
続いて、食材による違いについても説明しよう
▼世界人口の1/4。「豚肉とお酒」が食べられないイスラム教徒
イスラム教では経典により「豚肉」と「お酒」を摂取することが原則的に禁止されている。「ハラール・フード」とはこのような教えを持つイスラム教徒でも安心して食べられる料理のことを指す。
イスラム教徒と言われても「遠い中東の国々」というイメージが先行されがちだが、なんと最もイスラム教徒の人口が多い国はインドネシアなのだ(2億2400万人以上)。
イスラム教徒については下記の3点が抑えておくべきポイントだ。
・実はお酒は飲んでる人もいる(個人差)
・豚肉はほぼ100%ダメ。(「不浄なもの」と考えているため)
・大人も子供も甘いデザートが大好き
▼「千差万別」ベジタリアンにも色んな種類が存在
ベジタリアンと一口にいっても、実に多くのタイプがある。
避ける食べ物を「肉、魚、卵、乳製品など」に分けて、それぞれどこまで許容するかでタイプが決まっている。
・ラクト・オボ・ベジタリアン
・ラクト・ベジタリアン
・オボ・ベジタリアン
・ヴィーガン
詳しくは以前の記事で紹介しているので、下記を参照してもらうとわかりやすい。
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▼避けられやすい食材
①タコ・イカ
日本食の定番「寿司」のおかげで生刺身を食べる文化が世界中で徐々に広まりつつある。
イカやタコは世界的に見ると未だに「食べないもの」として扱われることがある(ヨーロッパ、中東、イスラムとユダヤ教徒など)。特にタコについては古くから「悪魔の使い」や「悪魔の化身」として忌み嫌ってきた歴史がある。(ディズニー作品『リトル・マーメイド』の悪役アースラもタコをモチーフにしている。)
②クジラ・馬肉
クジラついては道徳的に食用として受け入れておらず、一部の国では日本の捕鯨反対デモまで起きている(特にアメリカ、ヨーロッパ、オセアニア地域)。
馬肉についても英語圏のキリスト教徒の一部(イギリス、アメリカ、オセアニア)では敬遠されることがあるが、フランス・中国・韓国の食文化では許容されている。
いかがだっただろうか。外国人観光客といっても出身の国が違えばここまで食文化が違って来てしまう。
全てに対応することは容易くはない。店舗の現状と「積極的に受け入れたい外国人」を決めて、それに合わせた対応を少しずつ始めるために何よりもまず「知ること」が第一歩だと考えている。