インバウンド対策を中国人に対して行う上でWeChatのアカウントを持つことは有効な施策の一つと言える。もちろん業態にもよるが、どれだけ時間的コストと金銭的なコストをかけるかにも大きく関わる。そんなWeChatの最新情報をなるべく誰でもわかりやすいようにニュースとして毎週配信しているのがこのコーナーである。以前WeChat内で使えるミニアプリをWeChatがリリースした事は伝えた。
WeChatのミニアプリが超絶便利!最新情報をいち早くキャッチ!
実は1月9日から試験的に開始していたので、すでに1ヶ月が経過している。そんな1ヶ月が経過している段階でミニアプリの状況がどうなっているかをちょっと見てみた。
■結果から言おう。すでにみんな興味を失っている。
Contents
写真を見てもらえばわかる通り、Baiduの検索トレンドでもすでに下降線だ。
細かい数字の話をしよう。
「My Calculator」と呼ばれるミニアプリがある。不動産ローンの計算や税引き後の給料計算等、計算と名の付く物は全て解決できる使用感のいいミニアプリだ。ローンチした日には50,000のユニークユーザーがミニアプリに訪れたが、今ではその1割しかいない。「10 o’clock Reading」はポットキャスト型のミニアプリだ。元々は公式アカウント上で非常に人気の高いアカウントで1,300万人ものフォロワーを抱えている。ミニアプリでは34,000人の登録者がおり、リスナーは4桁の前半をうろうろしている。まあつまり簡単にいってしまうと、ミニアプリはイケてなかっただけだ。じゃあ、何がどうイケてなかったか?ちょっと深掘りしてみようと思う。
■そもそもミニアプリにする必要ないじゃん
ミニアプリにする事でユーザーの利便性が増えないと意味がない。でも実際問題ミニアプリ上でできる事って公式アカウントでほとんどできていたりするんだよね。動画を見れば分かるだろうが、食べ物をオーダーする事もできるし、Yシャツのクリーニング、掃除、タクシーサービス等大体がWeChat上で解決する。
これだけではない。実はけっこうミニアプリって不便なのである。その理由は下記だ。
1.メッセージ配信ができない
サービスアカウントはフォロワーに対して月に4回メッセージを配信できる。ミニアプリは今のところできない。
2.開発コストがバカにならない
WeChatミニアプリの開発環境はテンセント独自の手法をとっているので開発コストがけっこうかかる。HTMLはwxmlに代わり、CSSはwxssに代わる。この新しいフレームワークを学ぶだけでもコストになるので、まあやりたくはないよね。。
3.検索レベルの低さ
そもそもiOSであればApp Store、AndroidであればGoogle Playのプラットフォームが存在しない。このミニアプリを探し出すのは至難の業だ。WeChat上の検索機能自体がはっきりいって非常に悪い事に加え、ミニアプリに関しては一語一句間違えてはいけない。
4.アクセスの悪さ
Androidユーザーであればこのミニアプリをホーム画面に設定できるが、iPhoneユーザーはこれができない。つまり、毎回ミニアプリを探さないといけない導線になっている。そりゃ誰も使わないよね。。
5.容量の低さ
一言です。10MBぐらいしか容量ないんですよね。。
■一体全体どういうところがミニアプリ使うといいのよ?
テンセントのオフィシャルブログに公開している内容だけを伝えると
1.バスのスケジュールチェック
ちなみにWeChatの公式サービスであるので、不要といえば不要
2.病院の予約
これも公式アカウントで提供しているので不要といえば不要
3.ガソリンの支払い
車から降りなくてもいいので、まあ若干利便性あがる??
■まとめ
WeChatミニアプリはもっと進化をしない限りユーザーからもっと見放される。逆にサービスアカウントの進化がすごすぎる。AppleやGoogleにお金を払いたくなくなる気持ちは分かるが、ちゃんとプラットフォームは用意してあげないとユーザーもどのタイミングでいなくなるか気をつけないといけない。
■編集後記
今後もWechatに関するニュースを配信していく。もちろん、たまにはWeChatのネタがなくなる事もあるので中国全般の話になる事もある。今回はWeChatにフォーカスした話だが、ものすごくマニアックだ。インバウンド対策をする上でここまで細かい情報を得ることは大切だ。今後も情報が入り次第、書こう。なぜなら書きたいから。