■WeChat公式アカウントが3億元
Contents
テンセントが運営するSNS「WeChat」。ほぼ全ての中国人ユーザーが使用していると言われるメガアプリに衝撃的なニュースが舞い込んできた。
3年で500万フォロワーを達成した「Uncle Tongdao」。占星術をメインコンテンツにしているWeChat公式アカウントが3億元(約45億円)の時価総額にて投資家に売却を完了した。何故にWeChat公式アカウントが約45億円の時価総額で売却することが可能だったのか?WeChatアカウントがただのSNSのアカウントではない事を深掘りしていく。
■そもそもどうやってスタートしたのか?
28歳の創業者によって、「Tongdao」は設立された。元々フリーランスの仕事を手がけており、プロフィール写真などの制作に関わっていると言われている。2014年当時、フォロワー総数は10万人にも満たなかった。
風向きが変わったのは占星術で使う星座のキャラクターをWeibo上で公開したのが始まりだ。瞬く間にその投稿はリツイートやシェアをされ、40,000件以上の数にものぼった。これが成長の軌道となり、1年以内に500万人のフォロワーを獲得することとなる。
■フォロワー数だけではない、複数の収入源
WeChatをただのSNSという位置づけで語る人は多くいるが、WeChatの運用だけで財をなしている人間は中国では多数見受けられる。KOLと言われているネット上での有名人も個人だけでVCからの調達に成功したりと中国でのネットの成長は諸外国と比べ少し変わっている。何がそんなに違うのか?そもそもWeChatでは多くの収入が違う角度から発生する。
▼収入源① – デジタル広告
日本ではネット上の広告収入といえばアドセンスが有名だが同じような仕組みがWeChat上には存在する。フォロワーがある程度まで増加するとテンセント側の許可さえもらえば、広告収入が発生するように設定ができる(ようはアドセンスみたいなもの)。「Tongdao」は2015年に広告収入だけで約4億5000万円の売上を達成した。
▼収入源② – 自社ブランドEC
2016年に入ると彼らは12星座のキャラクターにまつわるグッズ販売を開始した。その総数は3,000個にものぼる。独自のグッズ販売はよほどのコンテンツ力がない限り失敗する傾向値が高いが、500万フォロワーもの熱狂的なファンが多くいるWeChatアカウントではまったく問題はなかった。グッズの購買を促す、ユーザーが買う、お金が環流する。この行為自体がWeChatであれば、3タップぐらいで完結する。
▼収入源③ – カフェ
2016年に公式カフェを上海にオープン。中国ではまだまだオンラインでの購入はマイナーであり、全体の12.9%しかオンラインでの購入がされていない。残りの87.1%にリーチするためには小売店を開かないといけない。まさにそれを体現したのがこのカフェになる。
▼収入源④ – 美容・コスメEC
驚く事なかれ、WeChatではいくつものECを一つのアカウントで運営する事が可能だ。つまり、フォロワーさえいればECでのマネタイズは極論いくらでもできてしまう。「Tongdao」はまさにそれを体現した。自社ブランドでのEC展開もしながら日本や韓国からの美容・コスメ商品とオーストラリアからの健康サプリを女性メインに販売している。
▼収入源⑤ – スタンプ
WeChat内のスタンプはほとんどが無料だ。一部有料と寄付制度でのDLが可能だが、98%が無料の仕組みになっているため、正確にはスタンプでのマネタイズはできていない。ただし、スタンプを定期的に配信することにより、ブランドの向上と認知率の上昇が狙える。これにより、勝手にバイラルされる仕組みを作ることが可能になり、プロモーションを特にかけずとも自動的にファンが増える事が可能になる。
■結論
いかがだっただろうか?中国のWeChat情報は中々出てこないので新鮮かつ衝撃的だった人もいるだろう。一つ言える事はマネタイズにかけての情熱や国民を巻き込む動作に関しては中国人が世界で一番うまいのはないか。アレンジの動画でも紹介しているとおり、WeChatはメガアプリだ。どの世界でも実現が不可能に近いし、保有しているデータ量も圧倒的に他社からぬきんでている。
最後にさらっとおさらいを。
1.マルチなマネタイズ収入源
SNSは単純なファンの集まりではない。ファンからマネタイズする知識をためて実行するべし。
2.自社ブランドの活用
SNSで100万人以上のフォロワーがついたらそれはブランドだ。失敗する可能性もあるが、自社ブランド商品で攻めるべし。
3.オンラインはまだまだ
EC、越境EC、オンライン、デジタル、こういった言葉に興奮することはあるが、中国のオンライン市場はまだまだ未熟(規模はとてつもないが)。オフラインをなめるべからず。
以上、今後もWeChat動向に変化があれば投稿していきたいと思う。