外国人が訪日するからには必ず目的があります。そのランキングが分かるとインバウンド対策の目安になるでしょう。
■訪日外国人の目的ランキング
近年、中国からの訪日観光客による爆買いが注目されたこともあり、訪日の目的第1位は「ショッピング」だと思われがちです。けれども観光庁の2016年の調査では「食事」が第1位でした。
江戸前寿司に代表されるような魚を生で食べる習慣のある国はそれほど多くありません。また見た目が美しくて繊細な味わいの日本食も他の国ではなかなか味わえないでしょう。もっとも実際のところ人気や満足度が高いのは「ラーメン」で、発祥は中国のはずですが独自の進化を遂げた日本ならではの食べ物と言えます。
2位がショッピングです。特にアジアからの観光客が目的としています。日本で売られているものは安価でありながら品質が高く、さらに「カワイイ」ものが多いため100円ショップやドラッグストアでも満足できます。一方で海外ブランドも人気です。自国はもちろん現地で買うよりは日本の方が安く手に入ります。店舗の種類が豊富なのも訪日外国人にとっては嬉しいところです。
3位は街歩きや観光地めぐりです。日本ならではの歴史ある景観を眺めるだけでも十分に楽しめるでしょう。特に春なら桜、秋なら紅葉など自然が織りなす風景は絵画のようです。同様に富士山も人気があります。
4位は温泉や旅館などへの宿泊です。やはり国によっては温泉自体が珍しく、混浴でも日常的に裸の付き合いができるのは日本くらいしかないでしょう。宿泊は昔ながらの日本旅館だけでなく、ビジネスホテルでも設備がしっかりしておりサービスが行き届いているので人気があります。
以下、テーマパークや展覧会めぐり、日本文化の体験と続きます。これらはリピーターになるほど関心が高まって、次の訪日の主な目的にする観光客が多いようです。特に欧米からの観光客では半数以上を占めます。
■訪日外国人の目的の場所はどこか
では訪日外国人はどこを訪れているのでしょうか。
ある調査で圧倒的に人気があったのは東京都で、2位の大阪府のほぼ倍です。確かにショッピングをするなら店舗が豊富であり、食事も日本食だけでなく世界中の料理が食べられます。浅草をはじめ日本情緒漂う街並みもあり、歴史的建造物もたくさんあります。初めての訪日であるほど、東京都内だけですべての目的は果たせるでしょう。
同じ関東圏では横浜港や中華街がある神奈川県が人気です。ディズニーランドがある千葉県も数だけ見れば上位ですが、それ以外の観光地まで訪日外国人の足が向いていないところは今後の課題と言えるでしょう。
関西では大阪府と京都府が人気です。同じ日本でも関西圏では独自の文化があります。最近ではUSJも大人気です。京都に行けば東京都以上に歴史的建造物があり、より本格的な日本料理も味わえるでしょう。リピーターになると、京都と同じく歴史的建造物の多い奈良県や、神戸牛の兵庫県、琵琶湖の滋賀県まで足を延ばす傾向が見受けられます。
大自然が広がり温泉が多い北海道と、海に囲まれ琉球文化が発展した沖縄県は、そこに行かなければ体感できない独自性があります。どちらも魅力が視覚的に分かりやすいのも強みでしょう。
また話題性で局地的に訪日外国人が増える都道府県もあります。例えば広島県は2016年に当時の大統領であるバラク・オバマ氏が来訪したことから、アメリカからの観光客が増えました。三重県も同年の伊勢志摩サミットをきっかけに関心を持つ訪日外国人が増えているようです。他にも映画やドラマの撮影場所に集まりやすい傾向があります。訪日外国人を誘致する1つの手段になりそうです。
こうして見ると訪日外国人の目的や行先は、最初の頃こそ定番に集中しがちですが、リピーターになって日本に慣れてくると自分の興味があるところに向かうようです。あえてリピーターに特化したインバウンド対策を行うことで観光地としての可能性がもっと広がるかもしれません。