これからのインバウンド対策においては、「富裕層」の呼び込みが重要な課題になるでしょう。1回の訪日にかける費用が段違いで、他の富裕層に影響を及ぼせば、さらなる経済効果をもたらす可能性があるからです。どのような対策をするべきか紹介します。
インバウンドの富裕層の種類
一口に「富裕層」といっても欧米やオーストラリアと、中国をはじめとするアジアでは大きく印象が異なるでしょう。
前者は優雅で洗練されており、後者にはどうしても成金で傍若無人というイメージがつきまといがちです。特に中国からのインバウンドはマナーが悪いと広まってしまっているため、たとえ富裕層でも相手にしたくないという声が聞かれます。
けれども中国の富裕層は多様化しており、既存のイメージで一括りできるものではありません。大きく分けると「富一代」と「富二代」の2種類がいて、さらにその中でも細分化されます。
そもそも中国では1978年12月から始まった「改革開放」を機に、富裕層が生まれるようになりました。この時期のいわゆる一代目の富裕層が「富一代」です。その中で何の教養もなく商売だけで成り上がった人を「暴発戸」、大学に通ったり海外で見聞を広げたりしてから成功した人を「奮一代」と呼びます。
富一代の子どもにあたるのが「富二代」です。こちらもエリートとして育てられ自ら商売で成功を収めるグループと、親に依存して贅沢を楽しむ「紈袴(がんこ)子弟」というグループに分かれます。
日本でイメージされる中国の富裕層に当てはまるのは暴発戸だけです。それ以外の富裕層はマナーをわきまえており、特に富二代の若者たちは日本の文化を深く理解しています。中国というだけで悪い印象を持つのは、良くありません。
来日する富裕層のインバウンドは何を求めているのか
先ほどの暴発戸をはじめ、いわゆる成金と呼ばれる人たちは、来日するとブランド物を買い漁るなど自己顕示欲を満たすための消費に走りがちです。
一方、生まれたときからの富裕層や、地道な努力で富裕層の仲間入りを果たした人たちは、自分の好みや楽しみ、こだわりを満たせる物事にお金をかける傾向があります。
もちろん一般とは異なる上質なサービスを受けたいのはどちらも同じです。それはプライバシーやセキュリティーを確保するためでもあります。それなのに来日した富裕層の多くは、「日本の宿泊施設は自由度が低い」と不満を抱いているようです。
ほとんどが決まった時間に食事をしなければならず、朝になれば寝床も片づけられてしまいます。一部では門限が設定されているほどです。長期で滞在するほど窮屈に感じるのかもしれません。
もし母国にいるときと同じように過ごしたいなら、海外資本の高級ホテルや知人の家など宿泊先が限られてしまいます。もちろん寝床はベッドのほうが快適に眠れるでしょう。このように富裕層のインバウンドは、彼らが求める自由と居心地の良さを提供するのが必須といえます。
富裕層のインバウンドを地方に呼び込むための対策
最近では初めから富裕層のインバウンドを招き入れる前提で、長期滞在型のリゾート開発計画を進めている地方があります。海外資本の高級ホテルを誘致するのもその一環です。もちろん独自の伝統や食の文化を知ってもらうための対策も欠かせません。
自らSNSで発信するのはもちろん、富裕層のインフルエンサー(KOL)にアプローチすると、少ない労力で他の富裕層への拡散が期待できるでしょう。中国であればWeibo、台湾や香港ではFacebookが人気です。
まとめ
同じインバウンドでも富裕層に対しては、彼らの国や出自は関係なく、大切な顧客として向き合う姿勢が求められます。長期間滞在しやすい環境づくりもその1つといえるでしょう。
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