インバウンドに大きく関係しているビザ緩和。
これまでアジアを中心にさまざまな国でビザの緩和が行なわれたことで、外国人が日本に来やすい環境が整ってきました。実際どのようなビザ緩和が行なわれているのか、国ごとの対策、効果、今後について確認してみましょう。
国別インバウンドのビザ緩和についての紹介
訪日外国人が増える中、国はインバウンド対策としてビザの緩和に乗り出しました。
ビザ緩和によって大きな影響を受けたのがアジアの国々。それぞれビザ緩和政策でどのような対応となったのか国別に確認してみましょう。
・タイ、マレーシア、インドネシア
これまで一定期間内であれば、何度でも渡航を許可する数次ビザを発行していたタイやマレーシア、そしてインドネシア。ICを利用した事前登録制を活用することでビザの取得が免除されるようになりました。なお、ビザの免除はタイとインドネシアが最長15日、マレーシアが最長90日となります。
・インド、中国、ベトナム
人口の多いインドや中国からの渡航者に関しては数次ビザが適用されてきました。変わらず数次ビザにはなりますが適用される期間が大幅に伸びています。中国は目的にもよりますが滞在期間30~90日、有効期限3~5年へ。インドやベトナムは滞在期間90日、有効期限10年の数次ビザになりました。
・フィリピン
これまで最長90日の一時ビザを発行していたベトナムとフィリピンは、有効期限5年、最長滞在日数30日の数次ビザへ緩和されます。期間内であれば何度も日本へ渡航できるようになりました。
・中央アジア5カ国
東南アジア以外の、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギスの中央アジア5カ国でもビザ緩和を実施。最長3年だった数次ビザが最長5年へと延長されました。
インバウンドのビザ緩和における効果とは?
インバウンド対策で行なわれているビザ緩和。
中国人観光客の爆買いが話題になりましたが、特にビザ緩和は中国における効果が大きいです。
引き金となったのは、2010年のビザ発行要件に関する緩和。
これまで年収25万元(日本円で年収300万円)に発行されていた富裕層の個人観光ビザが、年収6万元にまで大幅に下げられました。この中国でのビザ発行要件緩和によって、日本の個人観光ビザ取得が可能になった富裕層は10倍にもなったといわれています。
このようなビザ緩和で中国をはじめとした訪日外国人を呼び込むことで、国内の観光業をはじめとしたさまざまな産業の活性化につながっているのです。
そしてもう1つビザ緩和によってもたらされる効果があります。
不法滞在者の減少です。
ビザ発行の範囲が広まることによって、正式にビザを取得する人が増えます。無理に入国することが少なくなるので、不法滞在者の処置など問題も少なくなり、より円滑に訪日外国人を呼び込むことができるようになりました。
ビザ緩和によるインバウンドの将来について
ビザ緩和は、東南アジア諸国を中心に年々着実に行なわれているのが現状です。
過去の状況を鑑みても今後もビザ緩和は続いていくと予想されます。ビザ緩和にともない、日本への外国人観光客は増える見込みです。
また将来の訪日外国人観光客の大幅増加のためにも、今後も緩和が進むであろう中国や東南アジア諸国など、ビザ緩和がはじまっている国をターゲットにインバウンドを展開することが重要となります。
言語の問題はもちろん、食事など宗教の問題、クレジットカードなどの決済整備、交通機関の充実などの取り組みが必要です。将来的にアジアを中心に訪日外国人観光客が増えることを考え、早めに環境整備に取りかかる必要があるでしょう。
まとめ
ビザ緩和によって、アジアの国々をターゲットとした早めのインバウンド対策が今後の課題となりそうです。法的な問題は徐々に緩和されつつあるので、あとは民間での対策が急がれることでしょう。
インバウンドの波に飲み込まれないように、早め早めで訪日外国人のための環境を整えていくことが大切です。