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爆買いの終焉?データで見る今後のインバウンド市場について

5/20日本百貨店協会が発表したデータによると4月の外国人観光客の売上高が前年同月比でマイナスとなりました。

アベノミクスが始まった2013年1月以来、39ヶ月ぶりです。 

 

今年の4月に全国84の百貨店店舗で免税手続きをして購入された商品の総売上高は179億9000万円と前年同月比9.3%減少しました。2013年1月の段階では免税売上が19億4040万円にすぎず、全体への影響はわずかだったため外国人の国内消費に注目する人はほとんどいませんでした。

しかし今では全国百貨店総売上高の4%近くを外国人消費で占めるようになりました。

なぜ外国人消費が鈍化したのか?

鈍化の原因は明らかで、4月に入り中国人観光客による高級品の購入が激減しています。

日本百貨店協会の発表では「外国人観光客に人気のあった商品」として上位5分野を発表しています。これまでの1位の常連は「ハイエンドブランド」でしたが4月に入り異変が起きています。

「婦人服飾雑貨」が1位に浮上、2位は「化粧品」、3位は「婦人服」、4位は「食品」、5位は「家庭用品」となり、「ハイエンドブランド」が姿を消しました。

これまでの売れ筋で百貨店の売上を支えてきた高級ブランドもののバッグ・時計・宝飾品などが急に売れなくなってきました。4月に入ってからの中国人の消費傾向としては「婦人服」や「家庭用品」などの庶民的な物が売れる傾向にシフトチェンジしています。

爆買いの終焉?

中国人観光客が「ハイエンドブランド」と言われる高級品ばかりを買い漁っていた主な背景には円安や関税の影響で中国で買うより、日本で買った方が安いといった状態が続いた為です。

しかし円安も長引き、世界の高級ブランド品を買うなら日本が一番安いといった状況が続いた為、輸入品の価格改定が進み値段が徐々に上昇しました。そこへ関税の引き上げが続き、円安が円高にブレ始めることになった為、近頃は中国人観光客にとって魅力のある価格ではなくなっている傾向にあります。

また、中国の景気減速により中国人観光客の総数自体は増えていますが、その分日本に来る観光客に占める裕福層の割合が減り、庶民の割合が増えています。

実際にデータでは一人当たりの購入単価が落ちており、購買単価がピークだった2014年12月の8万9000円に比べると、今年の4月、3月も6万8000円で、ピーク時より購入単価が4分の3に落ち込んでいることがわかります。

これからのインバウンドはどうなっていくのか?

今まで「爆買い」と呼ばれ、高級品ばかりが大量に購入されていたのが言わば異常であっただけで、4月に入りやっと正常に戻っただけと考えることもできます。

一部百貨店では既に「爆買い」から「リピーター」を増やす方向にシフトしている企業もあります。一時的な「爆買い」客を増やして輸入した高級ブランド品を再輸出するよりも、ファンが定期的にリピーターとなり日本ならではの商品を購入し続けてくれた方が日本経済への貢献度が大きいのは明らかです。

4月の訪日外客数は208万2000人と発表されており、3月に続き200万人を超えました。単月としては過去最高を記録し、日本にやってくる外国人はまだまだ増え続けていることがわかります。

今後はどのようにして「爆買い」から「正常買い」のリピーターを増やしていくかがインバウンド市場を掴む上での重要なポイントとなりそうです。

参照:http://dentsu-ho.com/articles/3181

参照:http://www.jnto.go.jp/jpn/reference/index.html