■中国で競い合う2社の決済サービス
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WeChatではWeChatPaymentと呼ばれる、銀行口座と連携した形で現金決済できる第3者決済サービスが備わっています。
既に4億人以上のユーザーが使用しており、ガス・水道・光熱費などの公共料金の支払いや、ショッピング・食事などの会計をWeChat上で完結させています。
中国では「Tencent」が運営するWeChatPaymentの他に「Alibaba」が運営するAlipay(アリペイ)と呼ばれる決済サービスも有名です。アリペイも4億人以上のユーザーが使用しておりWeChatPaymentのライバルとして両者競い合っています。
■過去の購買方法を元にオススメの料理を解析
TencentはWeChatPaymentの使用率を上げるため、html5と呼ばれるクーポン取得ページをWeChat上で展開しました。このページはWeChatPaymentユーザーの食事の支払い履歴に基づいて、ユーザーが過去に食べた(支払った)料理とメッセージを表示するといった内容です。
■ページまでの導線
現状正確なページまでの導入経路は把握できていませんが、WeChatPaymentユーザーに対しモーメンツなどで宣伝する方法か、WeChatの公式アカウントからの通知や宣伝による誘導が考えられます。
■どういうページが表示されるの?
WeChatPaymentで決済した食事履歴を元に、ユーザーごとに異なる、励ましや応援などのメッセージをページに表示し、より一層WeChatとの関係性を深め信頼してもらおうということを目的としたページです。
今までの食事履歴
食事履歴を元に解析したオススメレストラン表示
コメント
というメッセージが表示されます。
(下画像はページのスクリーンショットとメッセージの翻訳)
【ユーザー1】
「あなたは友人とよく行くお気に入りのレストランがあります。普段は一人でご飯を食べ、たまに友人と食事にいきますね。
食べたい時に食べ、遊びたい時に遊ぶ、そんな自由気ままなあなたの人生は多くの人が理想とする充実した人生でしょう。」
上記のように過去に決済した食事情報を解析し、「誰と」「どこに」「どのような店へ行ったか」などがAIによって分析され、最後にポジティブな言葉で文章をまとめるといった形です。
【ユーザー2】
「あなたは今までWeChatPaymentを14軒のレストランで使用してきました。食事に60,658円費やし、あなたは普通の人たちよりグルメな人間でしょう。
仕事が辛い時や悩み事があった時は、食事に助けられる事もあったと思います。
あなたは旅行が好きです。今まで二つの土地を旅行し、美味しい料理を食べてきました。
今後行く土地では更に美味しい料理に巡り会える事でしょう。美味しい料理に多くのお金を支払う事のできるあなたは素晴らしい人生を過ごしているかと思います。」
上記のように過去の食事情報をメッセージにするだけではなく、今まで使用した食事金額の合計であったり、位置情報を利用した高度なメッセージを作成する事ができます。
【クーポンの取得】
そしてメッセージを見た後は自分へのご褒美としてクーポンが配られます。
こちらのクーポンはWeChatPaymentで食事に利用できるクーポンです。(クーポン額は不明)
■注目すべき「Offline To Online」の可能性
今回紹介したhtml5というキャンペーンですが、こちらの注目すべきポイントはAIによる自動メッセージ作成機能でアプリとユーザーの親密度を深めるといったポイントだけではなく、店舗で商品などを購入し、そのデータを元にオンライン決済で使用できるクーポンを配布するという点です。
Offline To Onlineまでの導線をゲームというわかりやすい形で流入させ、WeChatPaymentを生活に浸透させようという動きは非常に良くできたマーケティング手法だと思います。アレンジではWeChatPaymentユーザーの伸び率や今後のTencentの動きに注視していきます。